MYDESIGN / 暮らしから考えるリノベーション
幅3.6mのリビング。
家具を置いてみると、見え方が変わります。
間取り図に書かれた「3,600」や「3,640」を見て、「ソファを置いたら狭くならない?」と気になっていませんか。数字だけでは、座ったときのゆとりや、テレビまでの距離は想像しにくいものです。
幅3.6m前後は、ソファでくつろぎ、テレビを見るリビングを十分に計画できる寸法です。
大切なのは、壁の内側の幅に、家具の大きさと人の通り道を重ねて確かめること。「もっと広くする」前に、そこで何をしたいかを考えてみましょう。
八王子・日野を中心に戸建て・マンションのリノベーションを手がける、MyDesignの泉田です。今回は、横幅3.6mを具体的な寸法で読み解きながら、今ある広さをどう暮らしに生かすかを図解します。
01 3.6mは、900mmの目盛り4つ分
間取り図を、900mmごとに目盛りがある方眼紙だと考えてみてください。横に4つ分なら3,600mm。910mmごとなら、4つ分で3,640mmです。
この寸法は、壁の真ん中から、反対側の壁の真ん中までを示している場合があります。建築では「芯々(しんしん)」と呼びますが、まずは図面の3.6mには、壁の厚さの一部も含まれると分かれば大丈夫です。
家具を置けるのは、その壁の内側です。次の章の家具配置図では、900mmごとの点線と、実際に家具が入る床を重ねています。数字だけを別々に見るより、部屋との関係が分かりやすくなります。
同じ横幅3.64mで、LDK14畳・16畳を考える
こちらは、元の記事に掲載していたMyDesignの間取り図をもとに、色と質感を付けた平面イメージです。左右とも横幅は3,640mm。左はLDK14畳、右はLDK16畳のプランで、キッチン・食卓・ソファ・テレビを配置しています。

見ていただきたいのは、幅3.64mの中に、食事をする場所とくつろぐ場所が収まっていることです。「幅が狭いか」だけでなく、LDKの奥行、キッチンの形、食卓の位置を一緒に見ると、暮らしを想像しやすくなります。
この図だけでどのご家庭にも合うとは言い切れません。残したい家具や家族の人数を重ねて確認するために、次はリビング部分を取り出し、家具の寸法と通路を具体的に見てみましょう。
02 幅1,800mmのソファとテーブルを置いてみる
想定するのは、幅1,800mm・奥行900mmのソファと、幅1,000mm・奥行500mmのローテーブル。テレビ台は幅1,800mm・奥行400mmです。いずれも説明のために選んだ寸法で、特定の商品や標準寸法を示すものではありません。
図1|900mmが4つ。その中に家具を置くと?
この例では900mm
茶色の縦の点線=900mmごとの目盛り。柱や間仕切りの位置ではありません。周囲の灰緑色の帯=壁の中心から室内側までの部分。
A|テレビ台
幅1,800 × 奥行400mm
B|ソファ
幅1,800 × 奥行900mm
C|ローテーブル
幅1,000 × 奥行500mm
茶色の破線|画面から目
この配置の想定では約2.6m
横方向の寸法を足すと
テレビ台400 + 空き1,200 + テーブル500 + 足元450 + ソファ900 = 3,450mm
ソファの「幅1,800mm」は、座る人が横に並ぶ方向の長さです。この配置では図の縦方向に使い、リビングの横幅に効くのはソファの奥行900mm。ここを分けると、「ソファを置いたら部屋の幅がなくなる」という心配を具体的に確かめられます。
また、ソファとテーブルの間の450mmは足元の空きとして設定しています。いつもそこを横切る計画ではなく、家具の脇に通り道を設けました。立ち座りや歩きやすさは体格、家具の形、使い方で変わるため、実際に使う家具に合わせて調整します。
横幅だけでなく、出入口と収納も一緒に見る
同じ横幅でも、入口がソファの背後にある、掃き出し窓への通路が必要、収納の扉が開く、といった条件で配置は変わります。リクライニングソファなら、倒したときの奥行も必要です。「置けるか」に加えて「使った状態で通れるか」まで図面に入れることが大切です。
03 テレビは「部屋の幅」ではなく、画面から目までを測る
幅3.6mの部屋でも、視聴距離が3.6mになるわけではありません。テレビを置く位置と、ソファに座ったときの目の位置で決まります。図1では、左の壁の室内側の面から画面まで350mm、目まで2,950mmと仮定し、差し引き約2.6mです。
下の4枚は、4Kテレビのサイズ別の目安を、同じ縮尺の平面図にしたものです。ソファの大きさはすべて同じ。画面が大きくなると、距離の目安がどう変わるかを比較できます。
図2|4Kテレビの大きさと、画面から目までの距離
43型・4K
55型・4K
65型・4K
75型・4K
上から見た図。茶色の点が目の位置、点線が画面から目までの距離です。
ソニーの案内では、視聴距離の目安は4Kなら画面の高さの約1.5倍、フルHDなら約3倍です。画面サイズと解像度を分けて考えましょう。
| 画面サイズ | 4Kの目安 | フルHDの目安 |
|---|---|---|
| 43型 | 約0.8m | 約1.6m |
| 55型 | 約1.0m | 約2.1m |
| 65型 | 約1.2m | 約2.4m |
| 75型 | 約1.4m | 約2.8m |
上表は16:9の画面を仮定し、対角寸法から求めた画面高さに1.5または3を掛け、0.1m単位に丸めた概算です。機種ごとの外形寸法とは異なります。参考:ソニー「テレビを視聴するときに最適な距離」
例えば65型でも、4Kの目安は約1.2m。大きなテレビを置くために、必ず部屋を広げなければならないわけではありません。ただし、この数値に近づけて座る必要もありません。映像の内容や好みで見やすい距離は変わります。普段見る番組で、字幕や画面全体を楽に見られる位置を確かめてください。
窓の映り込み、画面の高さ、コンセントや配線、テレビ台の収納も暮らしやすさに関わります。テレビだけを大きくする前に、座る場所との関係を整えましょう。
04 「広いリビング」より、「何ができるリビング」か
夕食後にソファで話す、テレビを見る、本を読む。それが中心なら、幅3.6m前後でもくつろげる配置を十分に考えられます。一方、床に寝転がって運動する、子どもと大きな工作をするなど、別の活動も重ねるなら、その場所を考えておく必要があります。
図3|同じ部屋で、テーブルを動かすとどう変わる?
A|テーブルを置いてくつろぐ
T:幅1,000×奥行500mmのテーブル。ソファの前に置き、飲み物や本を手元に。
B|テーブルを移し、マットを敷く
Tを図の上側へ移動。M:600×1,800mmのマットを中央へ。ソファとテレビの位置は同じです。
毎日使う広さなのか、週に一度だけ必要なのかでも選び方は変わります。テーブルを動かせば済むこともあれば、隣の部屋とつながる場所をつくる方が合うこともあります。
逆に、床面積を増やしても、通り道ばかりで落ち着いて座れないなら、くつろぎやすくなるとは限りません。誰が、どこで、何をするかを決めてから、必要な広さを考える。これはリビングだけでなく、寝室や個室にも共通する考え方です。
05 広げる工事の前に、「今の幅を生かす案」を比べる
リノベーションでは、広さを増やすこと自体が目的ではありません。今の幅を生かせれば、予算を窓まわりの断熱や収納、家事動線など、別の困りごとに振り向ける選択肢も生まれます。
| 比較する案 | 暮らしで変えたいこと | 工事で確認すること |
|---|---|---|
| 今の幅を生かす | 家具・収納・テレビの位置を整え、通り道を確保する。 | 床・壁の状態、配線や照明、窓まわり。見送れる工事と必要な補修を分ける。 |
| 隣の部屋とのつながりを変える | くつろぐ場所と、遊ぶ・運動する場所を使い分ける。 | 壁・柱を変更できるか、床と天井のつなぎ、空調、収納や個室が減る影響。 |
| LDK全体の配置を変える | キッチン・食卓・リビングの行き来と、家族の居場所をまとめて見直す。 | 構造、配管・換気・電気、内装の改修範囲。マンションでは管理規約も確認。 |
4マスは考えやすい寸法。でも、柱を抜ける根拠にはしない
木造の住まいでは、柱や壁の位置を踏まえて4マス単位で間取りを考えることがあります。ただし、4マスだから必ず柱をなくせる、端に柱があれば問題ない、という意味ではありません。間取り変更の可否は、梁や耐力壁、上階の荷重なども含めて確認します。
壁を動かす場合は、撤去だけでなく、必要な補強、床・壁・天井の復旧、電気や設備の移設などが加わることがあります。「広くする案」と「幅を残して暮らしを整える案」で、何の工事が増減し、いくら違うのかを同じ条件で比べることが大切です。
まず、今の図面に3つを書き込んでみてください。
① 残したい家具の幅と奥行
② 毎日通る道と、扉を開ける範囲
③ そこで過ごしたい時間・やりたいこと
そこまで見えると、「何となく狭そう」から、「ここを変えると暮らしやすい」という相談に進めます。3.6mという数字だけで、よい間取り・悪い間取りを決める必要はありません。
この広さを、わが家の暮らしに
どう生かせるだろう。
八王子・日野を中心に、高尾・西八王子など多摩エリアで、戸建て・マンションのリノベーションをご検討の方へ。
MyDesignでは、リビングの広さだけでなく、キッチンとのつながり、収納、家事動線、住まい全体の使い方を一緒に考えます。必要な工事と見送る工事、その差額を整理し、ご家族の暮らしに合う間取りを検討します。
今の住まいを直すか、中古住宅を購入してリノベーションするか。物件選びから間取り・工事まで、不動産・設計・建築を横断してご相談いただけます。
間取り図があれば、残したい家具の寸法や暮らしのご希望と一緒にお送りください。住まい全体やLDKの改修を伴うご相談を対象としており、家具配置のみのサービスや、キッチン単体の交換工事は行っていません。
図と参考情報について
本文の図は説明用の模式図・想定例で、実施工事例ではありません。14畳・16畳の比較画像は元の間取り図をもとに生成したイメージです。家具寸法、内法、視聴位置は図ごとの仮定です。アイキャッチは生成した暮らしのイメージです。実際の工事範囲・可否・費用は、現地と建物の条件を確認して決めます。
テレビの視聴距離の参考:ソニー「テレビを視聴するときに最適な距離」/ソニー「テレビを買いに行く前にお家でチェックすること4選」(2026年10月13日確認)
